また当管区には、釧路海上保安部の巡視「そうや」と羅臼海上保安署の巡視船「てしお」の二隻の砕氷型巡視船が配備されており、即応体制をとっています。
このうち「てしお」は一昨年十月に配備された新鋭の砕氷型巡視船ですが、昨年三月、根室海峡内で流氷に閉じ込められたロシア漁船をえい航救助しました。
西山 それから、流氷に関する情報の収集と提供はどのようにして行っているのですか。
赤石 昭和四十五年三月択捉島単冠湾(ひとかっぷわん)で流氷により漁船八隻が集団で遭難し、三〇人が死亡・行方不明となる海難が発生しましたが、これを契機に同年十一月、当本部に「流氷情報センター」を設置して、流氷情報の収集と通報体制の確立を図ることとし、毎年十二月から五月上旬まで開設しています。
同センターは当庁の船艇・航空機や事務所のほか、気象台、北海道大学、一般船舶などから観測データ、人工衛星画像、レーダー画像等の情報を収集し、電報、ナフテックス航行警報等により海事関係者などに情報を提供する一方、平成六年からは、流氷情報FAXサービスを一管本部および紋別海上保安部で開始し、毎日の最新情報をポーリング方式によるFAXで一般向けに提供しています。
これには、毎年約一万三千件の利用があり、漁業や海事関係者のみでなく観光などの目的に広く利用されております。

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今後に向けて
西山 他には例のない北海道の特色あるお話いろいろありがとうございました。
最後に、今後の海上安全対策への所感をお伺いします。
赤石 北洋漁業の衰退や、旧ソ連邦の崩壊などによる本道周辺海域の社会的環境の変化に伴い、管内で発生する海難の形態も変わってきており、また、この広大な北海道における各地域のニーズも多様化してきています。
当管区としては、これらに的確に対応するため、各種、広範にわたる情報を収集、分析し、有効かつ効果的な海難防止対策を推進することで、気象・海象の厳しい北の海で活動する人達が安心できるよう安全確保に万全を期すつもりですので、今後とも皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
西山 本日は、お忙しいところ貴重な時間を割いていただき、大変有益なお話を伺うことができました。ありがとうございました。

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